【お酒1缶でも健康リスク?】適切な飲酒量の指標「純アルコール量」とは?【#みんなのギモン】

たとえ「お酒1缶」でも、飲むと「健康リスクがある」といいます。そもそも「お酒1缶」とは、なんでしょうか。例えば、350ミリリットルの缶チューハイ。この1缶で「生活習慣病のリスクが高まる」という研究結果があり、それを厚生労働省の検討会が「飲酒ガイドライン」として、初めてまとめました。

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年末が近づきお酒を飲む機会が増えてくるが、飲み過ぎると生活習慣病、肝疾患、がんなどの発症リスクが高まるなど、健康への影響が心配されるという“忠告”なわけです。

そこできょうのポイントは…

●アルコール量20gって?
●飲みたいとき心がけるのは

以上を中心に詳しく解説します。

■飲酒ガイドライン案…「純アルコール量」どう計算する?

飲酒ガイドライン案によると、「純アルコール量」について、1日あたり男性は40グラム以上、女性は20グラム以上を摂取すると「生活習慣病のリスクが高まる」というのです。

そして男女とも、60グラム以上を摂取すると、急性アルコール中毒などが起きる可能性があるため「避けるべき」と注意が呼びかけられています。

確かに多くの人は「アルコール度数」や「何杯飲んだか」を考えます。ところがパーセンテージでなく「飲む酒に含まれるアルコールの量」を把握するほうが正確だといいます。
では「純アルコール量」はどう計算するのでしょうか。以下の式で計算できます。

 お酒の量 × アルコール度数 × アルコールの比重0.8 = 純アルコール量

例えば、アルコール度数7%のチューハイ350ミリリットル缶1本を飲む場合、「350×0.07×0.8」という計算で「純アルコール量」は19.6グラムになります。これは女性の1日あたりの純アルコール量の目安である20グラムに迫ります。

これが、最近流行のストロング系チューハイで度数が9%だと、純アルコール量は1本でも25.2グラムとなり、女性の目安の20グラムを一気に超えるわけです。

■女性の目安 純アルコール量「20グラム」とは?

では、女性の摂取量の目安である「純アルコール量20グラム」とはどれぐらいなのか、いろいろなお酒で計算してみました。

・ビール 500ミリリットルロング缶1本
・日本酒 1合弱
・ワイン 小さいグラス2杯分
・焼酎 グラス半分

男性なら、女性の倍の量までが目安となります。「ビールのあとはなにを飲みますか」といった会話とともにお酒を楽しみたいところですが、この量ではスタートで終わってしまいそうです。

■飲酒ガイドライン案 街のみなさんは…「少ない」

街のみなさんにも聞いてみました。

「毎晩飲みますね、家でも。日本酒です」と話す40代は “ガイドライン案”について、「(日本酒)1合弱は少ないかな。2合くらいは飲んじゃうかな。やめられない」と答えました。

飲酒しない会社員40代は「お酒を飲み過ぎている方たちは体調崩されたり、健康診断、人間ドック引っかかってる人多い。自分は今のところ何もないので、その点はいい意味でよかった」といいます。また別の40代は「少し意識しつつ、でも飲みたいものは飲みたい」と話しました。

“ガイドライン案”について別の40代に聞くと「(量が)少ないと思いますね」と回答。普段どれくらい飲むのか尋ねると「生(ビール)2杯飲んでおかわりして、チューハイとか4杯くらい」と答えました。すると隣にいた娘が「あんまり無理しないでほしい」と声をかけ、「わかりました」と答えました。

「この量では少なすぎる」「減らすのは無理」という声が多く聞かれました。

ちなみに、お酒が好きな藤井キャスターにも聞いてみました。昨晩もワイン1本あけたそうです。

藤井キャスターは、男性の40グラムという目安については「全然おさまりません。全然おさまりません。超えてしまう」「体をいたわって週に2回のノンアルデーをつくっている、それだけでも革命なのに」とショックを受けていました。

■疾患別リスクの目安 脳梗塞や胃がんのリスクは?

週にどれくらい摂取したら、どんな疾患のリスクが高くなるのでしょうか。研究に基づく目安を、ビールの500ミリリットルロング缶に置き換えてみました。

・脳梗塞:発症リスクが上がるのは、男性は週に15本。女性は週に約4本。
・高血圧:男女とも、そもそも少しでも飲むと発症リスクが上がる。
・胃がん:男性は少しでも飲むとリスクが上がる。女性は週約8本。
・大腸がん:男女とも週に約8本以上。

しかし、目安の量以下なら“リスクは上がらない”という保証もありません。

■アルコール性肝疾患で死亡する人 20年で2倍に増加… そのワケは

お酒の影響は個人差もあり「自分は大丈夫」と思っても、次のようなデータがあります。

日本人がお酒を飲む量は年々減る傾向にある一方で、アルコール性肝疾患で亡くなる人の数が2022年に6296人(厚生労働省)と、20年前に比べ2倍近くに増えています。

さらに今「ビールよりチューハイなどのリキュールのほうが飲みやすい」という人が増えているため、チューハイなどがより多く消費されています。その中で最近はアルコール度数の高いストロング系のチューハイが人気にもなっています。

そこで厚生労働省は、適切な飲酒量の指標として「純アルコール量」を活用してほしいと考えているわけです。

■「飲みたい」ならば…缶を見て「純アルコール量」をチェック!

それでは「飲みたい」とき、何を心がけるとよいのでしょうか。

まず、缶を見ていただきたいです。最近ラベルに表示されるようになったのが「純アルコール量」。

大手ビール各社は、缶ビールや缶チューハイなどのアルコール飲料に含まれている純アルコール量を、グラム単位で表示する取り組みを進めています。2021年から順次導入するところが出てきているので、留意するといいでしょう。

■お酒の量をおさえるために…できることは?

専門家にも聞きました。

筑波大学 吉本尚准教授
「少しずつノンアルコール飲料に置き換えてみたり、飲んだ酒の量を自分で記録すると抑止効果にも。食事で満腹中枢を刺激しながら飲んだり、水を飲みながらお酒を飲むペースを落とすのもいい」

久里浜医療センター 松下幸生院長
「飲む時もあれば積極的に休肝日もつくり、メリハリをつけるのが大事」

飲む楽しみ、心のうるおいをもたらしてくれるお酒とのつきあい。長くお酒を楽しむためには、つねに体と相談して上手につきあいましょう。
(2023年11月24日放送「news every.」より)

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